八王子の鍼灸あんま師が語る 鍼灸治療の方法から分かる!体質と体調について!

今回は【鍼灸治療の刺激量】についてです。
鍼も灸も治療や施術を行う上で、
『どのくらいの刺激を与えると、患者様の症状が改善するのか?』
を考えて、適切な刺激量を判断します。
その刺激量は一般的に、以下のようにして決まります。
(青:刺激量が少ない<赤:刺激量が多い)
鍼の刺激量
鍼の材質・鍼の太さ・刺入深度・時間・本数・手技
によって決まります。
材質
柔らかい<硬い
金・銀・ステンレスなどがあります。材質により硬さが違うので、刺激量も異なります。もちろんですが、金製・銀製の鍼は、値段が高いです。
小児鍼では、使い捨てのプラスチック製の物もあります。
太さ
細い<太い
違いはこちらをご覧ください!
深度
浅い<深い
[東洋医学的]には証・疾病(病気)・症状の度合い、[西洋医学的]には低周波鍼通電療法(筋パルス療法)などで、痛みなどの原因となっている筋肉や、関節の動きや支持に関係する筋肉などに合わせて、刺入深度が異なります。
また「灸頭鍼」の場合、施術時の安全性を保つために、刺入深度を深めて鍼の安定性を確保します。
時間
短い<長い
時間が長ければ長いほど、刺激量も多くなります。
本数
少ない<多い
多ければ多いほど、刺激量が多くなります。
患者様によっては、鍼の本数が多いと刺激過多になってしまう場合があり、適切な本数にて治療効果を上げていくのも術者の腕の見せ所です。
手技
鍼治療は単に鍼を刺入しておき、経過を見るだけではありません。実施する手技によって、患者様に与える刺激量が異なります。
それぞれの手技の種類・刺激量は、こちらをご覧ください!
灸の刺激量
艾の質・捻り具合・大きさ・時間・壮数・隔物灸の厚み
にて、刺激量が決まります。
艾の質
良質艾<粗悪艾
艾を捻るお灸(捻り千切った艾のことを“艾柱:がいしゅ”と言います。)は「良質艾」です。柔らかく捻った艾柱は、熱さがまろやかです。
一方、「粗悪艾」は不純物が混入しているので、燃焼温度が高いです。そのまま艾を捻って据えても、熱いです。一般には、隔物灸などに使用されます。
値段は「良質艾」の方が、断然に高いです。
捻り具合
柔らかい<硬い
柔らかい艾柱は空気を含みフワッと燃焼するので、燃焼温度が低く一定なため、熱がじんわりとホンワカと感じます。艾を硬く捻ると密度が濃くなり、艾柱が一気に燃焼するため、燃焼温度も上がります。
同じ大きさ比較すれと、硬く捻った艾柱の方が、お灸を熱く感じます。
そのため艾柱を作る時に、術者の手先の感覚が非常に大きいです。職人と言われる先生ほど、指の感覚が敏感であり、捻る時の指の動かし方が非常にソフトです。
大きさ
小さい<大きい
底面積に比例します。皮膚と艾が接する面積なので、艾柱が大きいほど熱量を多く感じます。
一般的に、捻るお灸→台座灸→だるま灸→知熱灸の順で、熱量の面積が大きくなります。
捻るお灸では、糸状灸(糸の太さ)→半米粒大→米粒大の順で熱量が大きくなり、半米粒大が一般的な灸治療の基本になります。(据える場所や年齢などを考慮して、捻り具合で艾柱の大きさも変えられます。)
捻り具合と同じで、柔らかく小さく捻れるほど与える熱量が優しく、経穴(ツボ)の効果を引き出せる熱刺激が与えられます。
壮数・時間
お灸の治療方法は艾の質・捻り度合い・大きさが関係し、治療方法がそもそも異なるため、一概に刺激量の大きさとして比較ができません。
捻るお灸は艾が小さいため一壮あたりの時間が一瞬ですが、連続施灸にて経過を見ながら施術していきます。
台座灸・だるま灸・隔物灸は艾の質・大きさ・固さなどにより、一壮あたりに、一定の時間がかかります。
一つの経穴(ツボ)に対して、
・小さいお灸の壮数にて、熱刺激を積み重ねて加えていくのか!
・台座灸・だるま灸などで、じんわりと熱刺激を与えていくのか!
は、治療や施術をする先生の判断によります。
隔物灸の厚み
皮膚と艾の間に挟むショウガやニンニクなどの厚さにより、刺激量が変化します。
質・捻り具合・量が同じ艾柱であるならば、厚みが薄ければ熱量が大きく感じ、厚ければ少なく感じます。
上に乗せる艾の量で調節し、じんわりと熱刺激を与えていきます。
自分の症状には、鍼灸のどちらが適しているの?
みなさんに合う鍼灸の治療方法は、こちらをご参考ください!
最後に…
鍼灸治療は、視診や問診などの四診から、患者様の体質・体調などを把握し、先生の治療方針や判断などで、上記の鍼灸の刺激量を組み合わせて、その日の刺激量を決めていきます。
鍼灸治療の刺激量は多ければ多いほどに良いということではなく、適切な刺激量により、患者様の自然治癒力を引き出して、お悩みの症状や痛み、体質を改善していくことが重要です。
もちろん、その刺激量が弱すぎたら、自然治癒力も引き出せず、治療効果も表れてきません。
このことは、日頃に私が実施している“あんま”・“マッサージ”の治療や施術に関しても同様です。
また実際に治療や施術を受療されている過程の中で、患者様ご自身が日頃に感じられない体の調子などが、治療や施術(手技)などの刺激量などからも体感できると思います。
現在、鍼灸治療を受けられている方も、これから鍼灸治療を受けてみたいと思われている方も、ぜひご参考にしてください。
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